人文社会科学の諸分野を参照する法理学は、日本学国際研究で一定の役割を担える。
人文社会科学の諸分野を参照する法理学は、日本学国際研究で一定の役割を担える。
主に、法の一般理論、正義論、法律学方法論の3つの分野からなる法理学を専門に研究を行っています。現在関心を持っているのは、法の一般理論に属する問題として、公害訴訟や災害訴訟などの現代型訴訟の諸問題が挙げられます。また、正義論の分野では、精神史の見地から、とりわけ20世紀から現在にかけて、正義観念がどのように歴史を形作っているのか、さらに、法律学方法論の問題群のなかでは、ドイツで高度に発達している法的審査技術が、日本の法体系にどのように応用可能であるのか、という点について検討を進めているところです。
法理学は、法律学に属しながら、政治学、歴史学、経済学、哲学、文学など人文社会科学のさまざまな分野を参照しながら、固有の問題領域を形成しています。すなわち、法理学は、人間の意味世界を対象とすることから、さまざまな文化的、社会経済的背景からなる相異なる観念間の比較を行います。したがって、法理学は、法という社会的媒介を研究対象としながら、学際的かつ国際的な見地から分析を行う点において、日本学国際研究のなかで一定の役割を担うことができると思います。